「うちのお得意様は誰ですか」と聞かれて、レジの記憶と印象で名前を挙げている。これ自体は現場の感覚として正しいことが多いのですが、人に引き継げませんし、ブランドごとに見ることもできません。
スマレジの分析でどこまで分かって、どこから別の手が要るのかを整理します。
スマレジ標準の売上分析でできること
まず、標準で相当なことができます。公式ヘルプは売上分析を6つのグループに分けています。
- 日付ごと: 日別売上、月別売上、曜日別売上
- 時間ごと: 時間帯別売上、時間帯グループ別売上
- 商品ごと: 商品別売上、部門別売上、グループコード別売上
- 店舗ごと: 店舗別売上、スタッフ別売上、端末別売上
- 取引ごと: 客層別売上、取引タグ別売上
- 店舗と他項目の掛け合わせ: 店舗別商品売上、店舗別部門売上など
部門別売上は円グラフで割合が見られ、スタッフ別では客単価まで出ます。対象プランはスタンダード以上です。日々の売上を追う分には、これで不自由はありません。
足りないのは顧客を軸にした切り口
上の一覧をもう一度見てください。すべて「売上」を主語にした分析で、「顧客」を主語にしたものがありません。
店で知りたいのは、だいたいこういうことです。
- この1年で、Aブランドを累計10万円以上買っているのは誰か
- その人たちは何人いて、前の期間から増えているのか
- 最後に買ったのはいつか
これを標準の分析で出そうとすると、取引を書き出して表計算ソフトで会員ごとに集計し直すことになります。1回ならできます。毎月やるとなると続きません。
とくに部門(ブランド)ごとに分けたいときに困ります。化粧品専門店なら、店全体での上位客と、あるブランドだけを追っている客は別人です。後者に新作の案内を出したいのに、店全体の売上しか見えていない。
前提として、この手の集計には会員機能が要ります。公式ヘルプのとおりプレミアムプラスプラン以上が対象で、しかも会計時に会員を紐づけている取引だけが集計に乗ります。会員を選ばずに通した会計は、あとからだれの購入か分かりません。
「あと少しの人」を出せると打ち手が変わる
上位客のリストが出ても、実は打てる手が限られます。既に十分買っている人に「もっと買ってください」とは言えないからです。
動かせるのは、対象ラインの少し手前にいる人です。特典まであと3,000円の客には、来店時のひと声がそのまま意味を持ちます。
だから抽出は、対象者だけでなく「あといくらで届くか」を近い順に並べる形にすると使えます。名前を見て、額を見て、次の来店で声をかける。この形なら、リストがそのまま現場の動作になります。
もう一つ、人数の分布を見ると基準の引き方を直せます。対象が2人しかいないならラインが高すぎ、200人いるなら低すぎます。
顧客情報を手元にどこまで持つか
この種の仕組みを入れるとき、先に決めておくところがあります。
抽出のためには金額の集計が要りますが、氏名や連絡先まで手元に溜める必要はありません。一覧に名前を出すのは画面を見る瞬間だけなので、その都度スマレジから取れば済みます。
確かめるべきは3点です。
- スマレジのデータを書き換えるのか、読むだけなのか
- 顧客の氏名・連絡先を手元に保存するのか
- 契約ごとにデータが分かれているのか
メールでレポートを受け取る場合は、そのメールに顧客の氏名が入るのかも見てください。人数だけなら、受信箱が名簿になることはありません。
お得意様ナビでやっていること
この形をアプリにしたのが「お得意様ナビ」です。化粧品専門店から寄せられた「部門ごとの優良顧客を知りたい」という声から作りました。
期間・部門(ブランド)・累計購入金額を指定して条件を作ると、対象のお客様と、あと少しで届く声かけ候補が一覧になります。金額は「◯円以上」だけでなく「◯円〜◯円未満」の範囲でも指定できます。声かけ候補は対象ラインに近い順に並び、氏名・会員コード・累計金額・最終購入日が揃います。部門ごとの購入金額の分布もグラフで見られます。
よく使う条件は保存でき、毎月1日の朝に対象人数とあと少し人数がメールで届きます。このメールに顧客の氏名は入れていません。抽出結果はCSVで出せるので、案内の宛先づくりにそのまま使えます。
スマレジは読み取りのみで、取引・会員・部門を参照するだけで書き換えません。顧客の氏名・連絡先・メールアドレスはアプリ側に保存せず、表示のたびにスマレジから取得します。契約単位でデータを分離しています。
対象プランは会員機能が必要なため、プレミアムプラス・フードビジネス・リテールビジネスです。スタンダードとプレミアムは対象外なので、検討の前に現在の契約を確かめてください。
