Supercherenkoスマレジアプリと解説メディアの個人開発

お得意様ナビ

部門ごとのお得意様と、対象まであと少しのお客様を毎月出すアプリです。化粧品専門店から届いた声から作りました。スマレジの審査を通して、アプリマーケットで公開中です。ここには、何を解こうとして何を作らないと決めたかを書いています。

お得意様ナビの紹介ページ。期間・部門・累計購入金額で抽出した対象のお客様と、対象まであと少しの「声かけ候補」が並ぶ画面を示している。

解いた困りごと

発端は、化粧品専門店からの「ブランドごとのお得意様が見えない」という一言でした。スマレジの売上分析は店全体の数字を出します。ところが化粧品の店では、Aブランドをずっと買う人とBブランドをずっと買う人は別人です。店全体の上位客を並べても、ブランドの担当者が見たい顔は出てきません。

もう1つ、店の側は「誰がお得意様か」をたいていレジの記憶で判断していました。よく来る人は覚えている。覚えていない人は、いないことになります。印象に残らないお得意様は、印象に残らないという理由だけで取りこぼされます。

そこで、期間・部門・累計購入金額の3つで区切って、その条件のお得意様を出すことをこのアプリの役割に決めました。区切り方は店が決め、集計は毎月自動で回ります。

作らないと決めたこと

顧客分析のアプリは、機能を足す方向がいくらでもあります。書き戻し、自動配信、独自のスコア。どれも作れますが、作りませんでした。

スマレジのデータを書き換えない。参照するだけで、会員マスターにも取引にも書き込みません。抽出したランクを会員の備考欄に書き戻す機能は、要望としては自然ですし実装もできます。作らなかったのは、ここで出る結果が「条件つきの答え」だからです。期間を変えれば、部門を変えれば、順位は入れ替わります。そのときどきの計算結果を店のマスターに常駐させると、あとから見た人はそれを事実として読みます。マスターに残すべきは取引の記録で、こちらの解釈ではありません。

お客様の氏名と連絡先を、アプリに保存しない。持っているのは集計に要る数字(取引の日付・部門・金額・会員コード)だけです。画面に名前を出すときは、その都度スマレジから取ります。自前に写しを持てば表示は速くなりますが、速さと引き換えに預かるものが増えます。この種のアプリが漏らして困るのは「誰が・いくら買っているか」の組で、名前を持った瞬間にその組が完成します。だから片方を持たないことにしました。

DMや案内メールを、アプリから送らない。抽出したリストはCSVで出すところまでです。宛先が揃っているのだから送信までやれば親切に見えますが、抽出条件を1つ間違えたときに、間違いが店の外へ出てしまいます。機械が決めてよいのは「誰が候補か」までで、「何を言うか」は店の仕事だと切りました。

独自のスコアやランクを作らない。購入頻度や間隔を重みづけした点数を出すことはできます。やめたのは、店員がお客様の前でその点数を説明できないからです。使う基準は「この期間に、この部門で、累計いくら」だけにしました。数字の出どころを店が言葉で説明できることを、精度より優先しています。

毎月のメールに、個人情報を載せない。届くのは対象の人数と、画面へのリンクだけです。メールは転送も誤送信もされます。名前のリストは、ログインした人が画面で見るものにとどめました。

中心に置いたのは、「あと少し」の並び

条件に当てはまるお客様を出すだけなら、集計の話で終わります。このアプリで時間をかけたのは、条件に届いていないお客様のほうでした。

特典の対象が「累計3万円以上」だとして、店にとっての伸びしろは3万円を超えた人ではありません。2万8千円で止まっている人です。ひと声かければ届き、かけなければそのまま忘れられます。ところがこの層は、どのリストにも載りません。対象一覧には入らず、休眠客の抽出にも引っかからないからです。

そこで、対象まであと何円かを出して近い順に並べる画面を中心に置きました。ここが1画面目です。上位のお客様の一覧は、そのあとに置いています。

部門ごとの購入金額の分布をグラフにしているのも同じ理由です。対象ラインの手前に何人たまっているかが見えると、店は「線を少し下げるか、声をかけるか」を自分で判断できます。この判断をアプリが代わりにしないための絵です。

過去の取引を、途中で切れても読み込めるようにする

使いはじめの日にいちばん重い処理が来ます。過去の取引をさかのぼって読み込む同期です。何年ぶんもの取引は件数が多く、APIは1回で全部は返しません。素直に一気に取ろうとすると、途中で時間切れになって最初からやり直しになります。

そこで同期は分割して進め、どこまで読んだかを保存しながら進む形にしました。中断しても、次は続きから始まります。画面には進み具合を出します。終わったかどうか分からないまま待たせないためです。

この設計は、上で決めた「氏名を持たない」とも噛み合っています。溜めるのは集計に要る数字だけなので、同期のたびに個人情報が増えることがありません。重い処理が走る場所と、個人情報を触る場所が、はじめから分かれています。

扱うデータの範囲を先に決めた

顧客の購買を扱うアプリなので、何を持たないかを最初に決めました。

持つのは集計に要る数字だけ。氏名・連絡先・メールアドレスはアプリのデータベースに列がありません。表示のたびにスマレジから取ります。

スマレジへの書き込みはしません。参照だけなので、こちらの不具合で店のデータが壊れる経路がありません。

データは契約ごとに分離していて、他店のデータが混ざることはありません。アプリをアンインストールすると、こちらが持っていたデータは削除されます。スマレジ側のデータには影響しません。

このアプリの情報

対象
小売全般。とくに部門やブランドで売り場が分かれている店(会員機能が要るため、スマレジ プレミアムプラス・フードビジネス・リテールビジネスが対象)
料金
月額 2,200円(税込)。15日間の無料お試しつき。最新の金額はスマレジ・アプリマーケットの掲載を正とします
公開状況
スマレジの審査を通してアプリマーケットで公開中
主な構成
Cloudflare Workers、スマレジ・プラットフォームAPI(OAuth・参照のみ)、毎月1日の定期実行

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機能の詳細・料金・よくある質問は、アプリの紹介ページに載せています。15日間は無料で試せます。

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「累計金額ではなく来店の間隔で切りたい」「抽出したリストを自社のMAツールへ渡したい」といった相談も受けています。自社専用アプリなら、スマレジの審査もアプリマーケットへの手数料もかかりません。

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