Supercherenkoスマレジアプリと解説メディアの個人開発

仕込み予報

明日どれくらい出るかの目安を、品目ごとに毎日メールで届ける飲食店向けのアプリです。スマレジの審査を通して、アプリマーケットで公開中です。ここには、何を解こうとして何を作らないと決めたかを書いています。

仕込み予報の紹介ページ。品目ごとの過去の実績と明日の仕込み目安が並んだメールの見本を示している。

解いた困りごと

仕込みの量は、たいてい店長の勘で決まります。勘そのものは悪くありません。何年も立っている人の見立ては、たいていの計算より当たります。困るのは、その勘が本人の中にしかないことです。休みの日に別の人が仕込むと量が変わり、多ければ廃棄になり、少なければ早い時間に切れます。

売上のデータはスマレジに毎日たまっています。ただ、それを見に行くのは閉店後で、見るとしても金額の合計です。「先週の金曜、から揚げ定食は何食出たか」を品目ごとに掘る作業は、忙しい店では起きません。

そこで、翌日の仕込みを決める時間に、必要な数字を向こうから届けることをこのアプリの役割に決めました。開きに行くものではなく、届くものにしています。

作らないと決めたこと

予測のアプリなので、精度を上げる方向にはいくらでも進めます。にもかかわらず、途中で方向を変えました。

「当たります」と読める見せ方をしない。同じ曜日の数回ぶんの平均に、天気も客の気分も入っていません。それで明日を当てられるはずがない、というのが正直なところです。このアプリの芯は予測の精度ではなく、店の実績を思い出させることだと整理し直しました。

表示はそれに合わせて全部書き換えました。「明日の出数予測」ではなく「過去の金曜の実績 → 明日の仕込み目安」。根拠も要約しません。「直近4回の金曜平均」ではなく、実際の数字をそのまま出します。「から揚げ定食 42食(金曜の実績 40・44・42・42)」という書き方です。判断するのは店の人で、こちらは材料を出すだけです。約束を弱める変更なので、掲載できる売り文句も弱くなります。それでも、届いた数字が外れたときに信用が飛ぶよりましだと考えました。

丸めた数字を「実績」と呼ばない。予測を作るとき、宴会などで飛び抜けた日は数字を抑えて計算します。ここで作った値をそのまま「実績」として画面に出すと、88食出た日が42食だったことになってしまいます。生の実績は別に持ち、抑えた日には印を付けて注記を出すようにしました。実績と、こちらが加工した値は、同じ顔で並べないということです。

売切れ番を自動で解除しない。飲食店では、売り切れた品を端末で止めて、翌日戻し忘れるという事故がよく起きます。戻し忘れた品は、その日一日ぶん売上から消えます。自動で戻せたら一番いいのですが、スマレジ側に販売状態を書き込むAPIがありません(実機で確認しました)。無理に別の経路を探すこともできましたが、店の販売状態を裏口から書き換えるのは、あとで何が起きたか分からなくなる作りです。だから、解除忘れを検知して知らせるところまでにとどめました。押すのは人です。

導入実績がないうちは「お客様の声」を作らない。紹介ページを作っていて、課題を並べたセクションの体裁が体験談に見えていたことがありました(引用符が自動で付いていた)。文言そのものは架空ではありませんでしたが、読む人には「使った店の声」に見えます。セクションごと作り直しました。実在の声を載せられるようになるまで、その体裁は使いません。

中心に置いたのは、毎朝1通のメール

飲食店の人は、管理画面を開きません。開く時間がないというより、開く習慣の入る隙がありません。だからこのアプリの本体はメール1通です。画面は設定を変えるときにだけ開きます。

載せるのは、品目・過去の実績・明日の目安。読むのに10秒かかる形にはしません。仕込みの前に立ったまま読むものだからです。

予報を出す品目は店が選べます。作り置きしない品や、予報を見る必要がない品を並べても、行数が増えるだけで読まれなくなるためです。情報を足すほど読まれなくなるのは、この種の通知でいちばん起きやすい失敗でした。

「売らなくなった品」で予報が痩せる問題

このアプリは、出した予報と実際の出数の差を見て、毎週こっそり倍率を直します。ここに欠陥が1つ隠れていました。

補正の材料には「予報を出したのに1食も出なかった日」も入れています。外した日を除くと、都合のいい日だけで補正することになるからです。ところがこの材料には、終売した品や、季節で入れ替えた品も混ざります。売らなくなった品は当然ずっと0食で、それが日数ぶん積み上がります。

結果として何が起きるか。予報の外しではなく品揃えの変化が「出しすぎ」と読まれて倍率が下がり、売れ続けている品目まで一律で目減りします。メニューを一斉に入れ替える店では必ず起きます。店から見れば「なぜか最近、予報が全体的に少なめ」としか映りません。原因を店が特定できない種類の不具合です。

直し方は、期間内に1食も売れていない品目だけを材料から外すことにしました。1食でも売れている品目の0食の日は、こちらの読み違えなので残します。一斉終売のときに補正が効きすぎることと、本当に読み違えているときに補正が効くことを、両方テストで固定してあります。

扱うデータの範囲を先に決めた

扱うのは売上の集計と、メニューの情報です。

個人の購買履歴は使いません。予報に必要なのは「何がいくつ出たか」で、誰が買ったかは要りません。

導入した日に、過去90日ぶんを取り込みます。これを入れたのは、無料でお試しいただける15日のあいだ、予報がほとんど出ないまま終わる状態になっていたからです。日々のデータを積むだけだと、予報が始まるのが導入の2週間後になります。相手はすでにスマレジを使っている店で、履歴はもう持っています。取りに行けば初日から出せます。

売切れの記録は一定期間で消します。障害でメールが止まったときは、こちらに通知が届くようにしてあります。店が「今日は届かないな」と気づく前に、こちらが気づくための仕組みです。

このアプリの情報

対象
仕込みのある飲食店。予約人数による補正・売切れ番の検知・機会損失の集計は、スマレジ・ウェイターを使うためフードビジネスプランが前提です
料金
無料プラン(上位5品目・期間の制限なし)有料プラン 月額 1,980円(税込・全品目)。有料プランは15日間の無料お試しつき。最新の金額はスマレジ・アプリマーケットの掲載を正とします
公開状況
スマレジの審査を通してアプリマーケットで公開中
主な構成
Cloudflare Workers・D1、定期実行(毎日の同期と毎時の配信判定)、スマレジ・プラットフォームAPI(OAuth)とウェイターの予約・メニュー情報

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使ってみる、または似たものを作る

機能の詳細・料金・よくある質問は、アプリの紹介ページに載せています。無料プランは期間の制限なく使えます。

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